溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
残り時間5分をきっているみたいだし、まだまだチャンスはあるって思った。


逃げ切って何とか1回戦を勝ち残りたい。


でも、私に向けられた攻撃はまだ終わりそうになかった。


最後の力を振り絞って逃げ切ろう。


なんとか一回戦を勝ち残りたいよ。


「足を狙っていけ」


「おー、足、足」


執事達が連携をとる声が聞こえたから、ぐっと身構えた。


ビュンッて勢いよく迫ってくるボールは私の胸の高さ。


「え?」


足元を狙われるとばかり思っていたから一瞬体勢を崩しかけて。


ダメだ、あてられちゃうっ……。


絶望で目の前が真っ暗になりかけた。


すると突然、信じられないようなことが起こった。


その光景はスローモーションみたいにゆっくりと流れて……。


グレーの作業着、派手な金髪、サングラスにマスク。


その青年は私の前にひらりと立ちはだかり……。


ガツッ。
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