溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
「執事の紫音くんって、やめたんじゃなかったのね」


「うそ、金髪、マジカッコいいんですけど」


さっきまで少なかったのにあちこちから、ギャラリーが集まってきて大変な騒ぎになった。


作業着姿で、金髪で耳にはピアス。


チャラすぎる風貌がドキドキするほど似合っていて目が釘付けになったのは私だけじゃなかった。


見た目は私の知ってる彼とはほど遠い。


だけど、彼は確かに私の執事。


会いたくて会いたくってたまらなかった大切な人。


「しおん……」


恍惚とする私とは対照的に紫音は私をキッと睨んで小言を始めた。


「何をやってんだよ、まったく。
若葉お嬢様、1人ででるなんて正気ですか?
無茶苦茶ですよ、しかも頭にあたってもまだ続けようとするなんて」


怒っているけど目が潤んでて泣きそうな顔。


「紫音、来てくれたんだね」

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