溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
「ご、ごめんなさい、天堂さん」


「いや、謝ってくれなくていい。
それより、さっき頭にボールがあたっていたが大丈夫だった?」


「う、あ、はい。もう全然痛くないです」


「そう、ならよかった」


そっけなく言って視線を下げる彼。


もしかしたら、天堂さんは第1試合で紫音と再会を果たしたあの瞬間を見ていたのかもしれない。


もしそうなら彼に嫌な思いさせてしまっただろうな。


そんなことを考えていたら、3位から表彰式が始まった。


私は気になって天堂さんの横顔をチラチラ見ていた。


彼にひどいことをしてるって自覚はある。


それなのに彼は私のことを気づかってくれている。


本当は天堂さんと接するうちに少しづつだけど、彼がどんな人かわかってきていた。


天堂さんはプライドが高くぶっきらぼうだけど、ほんとは優しい人。


心の中で何度もごめんなさいと謝った。


泣きそうになってしまったけど、ここで私が泣いたらズルいと思ったから堪えた。


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