溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
紫音も私と一緒に理事長に深々と頭を下げてくれた。


知らなかった、こんなふうに私達を見守って助けてくれる大人がいたなんて。


自分の孫と執事、そして私のことも平等に扱ってくれたことも感謝の気持ちで一杯になる。


「はい、1位おめでとう。よく頑張りました」


次に理事長は天堂さん達ペアの優勝を笑顔でたたえた。


「はい、大奥様、恐縮です」


沢田さんはニコニコしながら1位の賞品を受け取る。


すると、天堂さんが沢田さんから無言でそれを横から奪ってしまった。


「え?」


沢田さんがぽかんとしていると、天堂さんは私にそれを手渡そうとしてきたのでびっくりした。


「いえ、そんな、いただけません」


「あげるんじゃない。キミのと交換して欲しいんだ」


そう言ってなかば強引に私の持っていた2位の賞品と1位の賞品を取り替えてくれた。

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