溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
「お嬢様、どうしたんですか?」
  

彼は立ち上がった拍子に、分厚い本を床に落とした。


「紫音こそ、まだ起きてたの?」


「はい、眠れなくて読書をしていました」


「そ、そうだったんだ。いてくれてよかった」


安心したら、胸に手をおいてハーって息を吐き出した。


心臓がトクトクと早鐘を打っている。


「お嬢様、大丈夫ですか?」


彼は素早く走り寄ってきて、心配そうに私の肩を抱く。


「顔色が真っ青です」


「え?そんなに?」


「怖い夢でも見たんですか?」


優しく私の背中をさすってくれる。


「ううん、違うの。ただ急に不安になっちゃっただけ」


「どうして?」

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