溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
side紫音 俺の大切なお嬢様
[side紫音 俺の大切なお嬢様]


「お嬢様、本当に一人で大丈夫ですか?今日くらいはずっとおそばにいますよ」


昨日のことでショックを受けていた若葉お嬢様はいつもより元気がないような気がして心配だった。


普段なら俺はお嬢様を教室まで送り届けた後、自分のクラス3年1組執事科の授業を受ける。


だけど今日だけは一緒にいてあげたい。


「ううん大丈夫だよ。紫音だって自分のクラスで授業を受けないと」


無理して笑っているのはバレバレ。


今さっきだって俺にどこにも行かないで、ってすがるような瞳で言ってたし。


執事はお嬢様の授業中、隣の席で見守ることもできる。


今だって5、6人の執事はお嬢様の隣に控えている。


俺も今日はそうしたいと思ったんだが……。


「ほら、早く行かないと遅刻しちゃうよ」


お嬢様に背中を押されて教室のドアの外まで追い出されてしまった。
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