溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
かつて如月家には10人以上のメイドやスタッフがいて、お嬢様は丁寧にお世話されてきた。


それを俺一人で満足いくサービスができるのか?


実は今朝だってお嬢様の制服がどこにあるのかさえわからなくて手間取ってしまった。


「紫音、お着替え手伝って」


彼女は寝ぼけているみたいだったけど、
無邪気にお願いされて焦った……。


手助けしてあげたいのはやまやまだが、こればっかりはまずい。


「お嬢様、これからは自分で服を着てください。俺は手伝えません」


「でも、お着替えはこれまでメイドさんに手伝ってもらっていたから」


「すみません、これからはご自分でお願いします」


お嬢様はちょっと天然というか、危機感が無いというか。


こんな調子でこの先大丈夫なのか、俺。


いや、考えてもしかたない。


泣きごとなんて言わずに、精一杯できることからやるしかない。


もうずっと前から決めてるんだ。


大切な若葉お嬢様のために。


その笑顔を守るためなら俺はなんでもするって。
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