溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
「待って紫音さん、少しお話していいかしら?」
今後のことに頭を悩ませながら廊下を歩いていたら、見覚えのある女子生徒達に声をかけられた。
立ち止まって柔らかい笑顔をつくる。
「はい、どうされたました?」
おそらく隣の桃組の生徒達3人。
いずれも大富豪の家のお嬢様達で目立つ存在。
3人は嬉しそうにニコニコしている。
おっと、なんとなく嫌な予感が……。
「私達凄い噂を聞いてしまってとても心配しているの」
「ねー、本当に大変そうよね」
互いに顔を見合わせて眉を顰める。
「大丈夫なの?紫音さんは?」
「はあ、何がでしょうか?」
「だって如月さんのお宅は使用人がいなくなったって聞いたわよ。
紫音さんはどうするつもり?
行くあてはあるの?
もしよかったら、私の専属になってくださらない?」
「……」
なにかと思えばスカウトか。