溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
正直に言ってもいいかわからない。


「くそッ、こんな時に」


彼はバシッと壁を叩いて悔しそうに吐き捨てる。


「俺のせいだ、もっとちゃんと管理していれば」


「紫音のせいじゃないよ」


「警察に連絡をします」


そう言ってスマホをポケットからとりだそうとしたから焦った。


やっぱりこのまま黙っていられそうにない。


警察が来たら大変だもん。


だって、泥棒のしわざなんかじゃないから。


「あ、あのう紫音、実は……」


恐る恐る白状した。


「そのお金ね、もう私が使ってしまったの」


「は?」


目を丸くする彼に対して、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


「ごめんなさい」

ベッドの上に正座してペコッと頭を下げる。


「お嬢様が?ですか?」


まだ、わけがわからないというような顔をする彼。


「うん、そうなの」
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