溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
「……やめて」


逃げようとしたけど、強い力で押さえ付けられた。


すると、そのうちの執事科のバッジをつけた男子生徒が慌てて口を開く。


「坊ちゃん、おやめください」


「うっせーな。お前は早く車をまわしてこいよ」


「ですが、お嬢様に直接声をかけるのはタブーですよ。
執事を通さないと、ルール違反になります」


どうやら、この御曹司を止めようとしているのは彼の執事みたい。


でも御曹司の方は、全然執事の忠告に耳を貸そうとしない。


実は、この学園には暗黙のルールがある。


知らないお嬢様に対して、個人的な要件で直接話しかけることは禁止。


どうしても話したい場合は執事を通さないといけないんだ。


それなのに、この人達はルール無視で傍若無人すぎる。


「この子には執事なんていないから大丈夫だろ。
貧乏で使用人が全員辞めたらしいからな」

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