溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
だけど、彼と2人でいれば心細くなんてない。


「いっそロウソクの火で過ごしちゃうとか。キャンプにきてるみたいな気分になるかも」


つとめて、テンション高く明るく振るまった。


紫音がこの状況にうちのめされてしまっているように見えたから。


「すみません」


「どうして紫音が謝るの?」


「お嬢様にこんな生活しかさせてあげられないのが、悔しくて……」


はあってため息を吐いて、顔を曇らせる彼。


「そんなこと言わないで、もとはと言えば私のせいなんだから」


私が、生活費を使ってしまってお金が無くなったことは、両親には伝えないでおこうって話し合った。


大変だけど、なんとか紫音と2人で乗り切りたい。


会社の資金繰りで大変な時に両親に心配をかけたくなかったから。


そうじゃなくても、両親からしばらく連絡が無くて心配なんだ。
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