溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
きっと、あっちも大変な状況なんだろうなって思う。


親に頼れないから、紫音に迷惑をかけてしまうのが心苦しい。


皺寄せが全部彼にきてしまってるよね。


「如月家のお嬢様にこんな食事しか出せないのは執事としてあまりにも……」


眉間に皺を寄せて、がっくりと項垂れてしまう紫音。


そんなに気にしなくてもいいのにな。


私はそれなりにふっきろうとしていても、執事の彼には歯痒い気持ちなんだろうか。


「だ、大丈夫だよ。
紫音は最高の執事だよ」


「……」


「元気だして、ねっ。
このラーメンだってすごく美味しいよ」


「……」


目線を落として黙りこむ彼。


ダメだ、あんまり効果がない。


執事としての自信まで無くしてしまいそうなくらい落胆しているみたい。


なんとか、気を取り直してもらいたいな。


うーんと頭をひねって、こんなおねだりをしてみた。


「そうだ。
紫音にお願いがあるの」
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