溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
「は、はあ。俺に出来ることなら」
ちょっと顔をあげてくれた。
よし、畳かけよう。
「あのね、私、1人でお風呂に入っていたら不便なことがいろいろあって」
メイドさん達がいないから、自分で身体を洗うようにしているんだけどまだあんまり慣れない。
「背中を洗えないの。紫音手伝ってくれないかな?」
「……は?」
彼はまばたきをして呆然。
「お願い、私、背中に小さいニキビができてるんだけどちゃんと洗わないと治らないから」
不器用だから自分じゃうまく洗えていないみたいで困ってたんだ。
「……」
「だ、だめかな?」
「それは……」
目と目が合うと、困ったように逸らされた。
「無理だよね」
「いえ、お嬢様の仰せとあらば……」
パッと顔をあげた彼は意を決したような真剣な表情。
「え?」
「専属執事として、死ぬ気で頑張ります」