溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
「俺だって男です。適切な距離を保っていただかないと困ります」


「距離ってどういうこと?」


不安そうにこちらへ手を伸ばしてくるけど、その手をとらなかった。


「は、離れないとマズいんです、マジで……」


「えっ、離れるって遠くに行っちゃ嫌。一緒にいてくれるって言ってくれたのに」
 

「だから、そういうことではなくて」


なかなか理解してもらえなくて歯痒い。


とうとう、痺れを切らしてこう言った。


「それでは、少しおしおきをさせてもらいます」


仕方がない、もうこうなったら身をもってわかっていただくしかない。


ついに、俺は強硬手段に出た。


「えぇ?」


驚いたように、まばたきをする彼女。


「紫音……きゃっ」


グイッと彼女の腕を引いて強引に引き寄せる。
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