冴えないモブ先生の正体はS級王子様!?
よりにもよってモブセンと、とんでもないことをしてしまった…。

冷静になった瞬間に罪悪感がドッと押し寄せてきた。
なのに私にていねいにセーラー服を着せながら、上機嫌に鼻歌なんか歌っちゃってるし…。

初めてなのに、痛みすら愛おしく思ってしまったのはなんで?

モブセンはキスをする瞬間にメガネを外していた。

今は汗で乱れた前髪を鬱陶しそうにかき分けている。

初めて見た素顔のぜんぶ。

意図的にそうされたんじゃないかってくらいの、スッときれいな二重瞼。
針くらいなら乗りそうな長いまつ毛。
美しすぎる鼻。

コレ…誰…。

ううん。やっぱりこの目は、見間違いなんかじゃなかったんだ。

「モブセン…?」

「ん?」

「いやいやいや、誰!」

「なにが?」

「あんたよ!どこで入れ替わったの!?」

「入れ替わったって!?」

「だってビジュが…えぇ!?」

「コレ」

長机の上に転がされていたくそダサメガネを取って、モブセンは言った。

「伊達メガネ。俺、視力ちょーいいの。だからちゃーんと見えてたよ。リリの可愛いとこ、ぜんぶ」

「ッ…」

微笑みながら顔を近づけられて、キスされた。

「自衛だよ。女は面倒だ」

「なにそれ…イケメンの自覚あるってこと?」

「へぇ?イケメンなんだー。さっきまでモブセンとか言ってバカにしてたのに」

「うるさい!」

「顔が良くなかったら抱かれなかった?」

「なんでそんな意地悪言うの!?」

「散々意地悪言ったのはそっちだろ?うんざりなんだ。顔目当てで近づいてくる女は。ロクなことになんないし」

< 11 / 30 >

この作品をシェア

pagetop