御曹司は初心な彼女を腕の中に抱きとめたい
彼と約束した金曜日。
仕事の後に約束をしているので私は今日お泊まりセットを用意し、いつもより荷物が多かった。
するとめざとい美和が声をかけてきた。
「みちる! ちょっと、うまくいってるってことかしら」
「あ、うん」
「そうか、よかったね。私は最初の印象しかない、というかほとんど見た目しか覚えていないからわからないけど幸せそうで安心したよ」
美和は何かとのんびりしている私を心配してくれていたようで、進展している関係をホッとしたようだ。
「今度みんなで一緒に飲みに行こうよ。改めて紹介してよ」
「うん」
美和にそう告げると笑っていた。それでもやはり私が気がかりなのか、何かあれば必ず言うようにと念を押された。
待ち合わせのベリヶ丘駅に着くと彼は以前待ち合わせしたところにすでに立っていた。いつもと同じ、前髪で顔を隠していた。
「ごめんね、遅くなっちゃった」
「俺も今来たところだよ。荷物持つよ」
「え、大丈夫だよ」
そう伝えたが、彼は私の手から荷物を取りあげ、肩にかけていた。自分の荷物もあるから鞄が二つになってしまい重そうだが、彼は軽々と持ってしまう。遠慮しようとするが、彼は私の手を握り阻止されてしまった。
「みちるはこっちだけでいいよ」
手をぎゅっと握ると歩き始めた。
ベリヶ丘の駅から歩いてすぐにあるホテルのレストランに連れてこられた。カジュアルな雰囲気はあるが、来ている人は明らかにハイソなって雰囲気を醸し出している。足を踏み入れるのを躊躇ってしまいそうな雰囲気なのに彼は気にすることもなくウェイターに声をかけた。
「奥山だけど」
「お待ちしておりました」
すぐに窓際の席に案内された。お互いある程度の距離を保っているのか席の間隔が遠い。
それよりも彼はこういうお店に慣れているのだろうか。予約したのかもしれないが、それにしては名前だけですぐに案内されたことを不思議に思った。以前連れて行ってもらったトンカツの店も私の想像を超えるようなお店だった。
彼はウェイターに荷物を預けると髪をかき上げ、メニューを開いた。
「髪の毛あげちゃうの?」
「もうみちるは大丈夫だろ? 本当は邪魔なんだ」
苦笑いを浮かべる彼は少し可愛く見えた。
何を頼めばいいのか悩んでいると彼はコースとワインを注文しれくれた。
「蒼生さんはよく来るの?」
「頻回ではないが仕事の関係でこのホテルはよく使うんだ。でも彼女を連れてきたのは初めてだから」
さらりと言われたが、私の胸の中の不安を感じたのかちゃんと教えてくれた。
「うん……」
運ばれてきたワインを飲むと私の好きなさっぱりとした口当たりのいいものが選ばれていた。
「口に合った?」
「うん。美味しい」
「よかった」
彼は頷くともう一口飲んだ。
アミューズから始まり、トマトの冷製スープ、オマール海老のソテーと続く。ここで一度フルーツシャーベットが出てきたが、、その後牛頬肉の煮込みとパンが出てきて終了となった。どの食事も本当に美味しくて、さっきまでの緊張していたはずなのにすっかり解けていた。食後のコーヒーを飲むと、早々に彼は立ち上がってしまった。
仕事の後に約束をしているので私は今日お泊まりセットを用意し、いつもより荷物が多かった。
するとめざとい美和が声をかけてきた。
「みちる! ちょっと、うまくいってるってことかしら」
「あ、うん」
「そうか、よかったね。私は最初の印象しかない、というかほとんど見た目しか覚えていないからわからないけど幸せそうで安心したよ」
美和は何かとのんびりしている私を心配してくれていたようで、進展している関係をホッとしたようだ。
「今度みんなで一緒に飲みに行こうよ。改めて紹介してよ」
「うん」
美和にそう告げると笑っていた。それでもやはり私が気がかりなのか、何かあれば必ず言うようにと念を押された。
待ち合わせのベリヶ丘駅に着くと彼は以前待ち合わせしたところにすでに立っていた。いつもと同じ、前髪で顔を隠していた。
「ごめんね、遅くなっちゃった」
「俺も今来たところだよ。荷物持つよ」
「え、大丈夫だよ」
そう伝えたが、彼は私の手から荷物を取りあげ、肩にかけていた。自分の荷物もあるから鞄が二つになってしまい重そうだが、彼は軽々と持ってしまう。遠慮しようとするが、彼は私の手を握り阻止されてしまった。
「みちるはこっちだけでいいよ」
手をぎゅっと握ると歩き始めた。
ベリヶ丘の駅から歩いてすぐにあるホテルのレストランに連れてこられた。カジュアルな雰囲気はあるが、来ている人は明らかにハイソなって雰囲気を醸し出している。足を踏み入れるのを躊躇ってしまいそうな雰囲気なのに彼は気にすることもなくウェイターに声をかけた。
「奥山だけど」
「お待ちしておりました」
すぐに窓際の席に案内された。お互いある程度の距離を保っているのか席の間隔が遠い。
それよりも彼はこういうお店に慣れているのだろうか。予約したのかもしれないが、それにしては名前だけですぐに案内されたことを不思議に思った。以前連れて行ってもらったトンカツの店も私の想像を超えるようなお店だった。
彼はウェイターに荷物を預けると髪をかき上げ、メニューを開いた。
「髪の毛あげちゃうの?」
「もうみちるは大丈夫だろ? 本当は邪魔なんだ」
苦笑いを浮かべる彼は少し可愛く見えた。
何を頼めばいいのか悩んでいると彼はコースとワインを注文しれくれた。
「蒼生さんはよく来るの?」
「頻回ではないが仕事の関係でこのホテルはよく使うんだ。でも彼女を連れてきたのは初めてだから」
さらりと言われたが、私の胸の中の不安を感じたのかちゃんと教えてくれた。
「うん……」
運ばれてきたワインを飲むと私の好きなさっぱりとした口当たりのいいものが選ばれていた。
「口に合った?」
「うん。美味しい」
「よかった」
彼は頷くともう一口飲んだ。
アミューズから始まり、トマトの冷製スープ、オマール海老のソテーと続く。ここで一度フルーツシャーベットが出てきたが、、その後牛頬肉の煮込みとパンが出てきて終了となった。どの食事も本当に美味しくて、さっきまでの緊張していたはずなのにすっかり解けていた。食後のコーヒーを飲むと、早々に彼は立ち上がってしまった。