御曹司は初心な彼女を腕の中に抱きとめたい
結局俺たちは駅まで一緒に歩き出した。
隣に並ぶ彼女からはなんだか花のような優しい匂いがする。同じ花でもバラとか百合の強い香りではない。ふんわりとしたものだ。ついつい隣にいながらそんなことを考えていると彼女から、ねえ、と言われハッとした。
「ごめん、なんだっけ?」
「さっきの料理の話だよ。どれが1番好きだった?」
「あぁ。生ハムののったピザかな」
「あー、美味しかったよね。私はシーフードのマリネかなぁ。ドレッシングにハーブが入ってたよね。レモンも効いてて全体的に爽やかだったな。また食べたいな」
彼女は駅までの道のり、ずっと食べ物の話をしていた。俺は自分から話すのが得意ではないので彼女の話はとても気楽で居心地が良かった。俺の見た目も気にしていないのか、むしろそんなところに気が回らないのかひたすら楽しそうな姿の彼女から目が離せなかった。
あっという間に駅に着いてしまうと彼女は「ありがとう」と言うと手を振り、あっという間に改札の中へ入ってしまった。
もちろん連絡先の交換なんてしていない。
むしろ彼女の名前さえわからないままだった。
隣に並ぶ彼女からはなんだか花のような優しい匂いがする。同じ花でもバラとか百合の強い香りではない。ふんわりとしたものだ。ついつい隣にいながらそんなことを考えていると彼女から、ねえ、と言われハッとした。
「ごめん、なんだっけ?」
「さっきの料理の話だよ。どれが1番好きだった?」
「あぁ。生ハムののったピザかな」
「あー、美味しかったよね。私はシーフードのマリネかなぁ。ドレッシングにハーブが入ってたよね。レモンも効いてて全体的に爽やかだったな。また食べたいな」
彼女は駅までの道のり、ずっと食べ物の話をしていた。俺は自分から話すのが得意ではないので彼女の話はとても気楽で居心地が良かった。俺の見た目も気にしていないのか、むしろそんなところに気が回らないのかひたすら楽しそうな姿の彼女から目が離せなかった。
あっという間に駅に着いてしまうと彼女は「ありがとう」と言うと手を振り、あっという間に改札の中へ入ってしまった。
もちろん連絡先の交換なんてしていない。
むしろ彼女の名前さえわからないままだった。