御曹司は初心な彼女を腕の中に抱きとめたい
蒼生さんは母と、後から駆けつけてきた父に病室で今までのことを謝ってくれた。彼が悪いわけではない。けれど結局は私たちが別れたのは彼が私を守りきれなかったせいだから、と何度も頭を下げていた。
父は妊娠した娘を放り出したと怒り浸透だったが、彼が謝罪を繰り返し、なんとか怒りを収めてくれた。
母は私たちのやりとりを病室の外で聞いていたのだろう。彼になにも言わなかったが、必ずふたりを幸せにしてくださいと約束をさせていた。
赤ちゃんが病室に来るとみんなの表情が和らいだ。
産着を着せられ、タオルに包まれた赤ちゃんは私の元に連れてこられる。私が抱いた後、蒼生さんに渡そうとするが、首を横に振った。
「俺よりも今までお世話になったお父さんやお母さんに抱いてもらうべきだ。俺は最後でいい。抱けるだけでも幸せだから」
「君は父親なんだから先に抱くべきだろう。今までのことは水に流して、きちんと父親として責任を果たすべく、この重みを知るべきだ」
私の父に言われると、自分が先に抱いていいのかと驚いていたが、私の手から赤ちゃんを抱き上げた。
「なんて小さいんだ。かわいいなぁ。よく産まれてきてくれたな。ありがとな」
彼の目からまた涙がこぼれ落ちた。それを彼はこっそりぬぐっていたのを見逃さなかった。
彼の優しさ溢れていると思った。
私の両親も変わるがわる抱きしめると家族が一つになった。
彼は突然産まれたこの子の名前を一生懸命に考えてくれた。
そして名付けてくれた。
この子の名前は悠真。のびのびと、そしてまっすぐな子に育ってほしいと願いをこめてくれた。
蒼生さんは私が入院中にお父さんと話をつけてたと言っていた。
私から強引に引き離そうとしたことは許せないといい、三橋製薬を継ぐことだけが自分の価値ではないと話してきた。箔がつくといつも言っていたが、そんなものはお飾りにしかならない、実力で上がっていくと伝えるとお父さんは項垂れていたそうだ。
彼の両親が離婚したのもお父さんがワンマンだったせいもあるらしい。
ただ、三橋の家に生まれたからって後継者指名を受けるのは間違っている。実力で上がっていくから結婚相手にそんなものは求めないし、自分で選ぶと伝えたらしい。
なにもかも父親のいう通りにならず不服そうであるが、彼はお父さんの操り人形ではない。きちんと感情を持った人間だ。
時間がきっと解決してくれることだろう。
私は入院中に入籍を済ませた。両親が保証人になってくれた。
そして、退院すると悠真の出生届を提出した。
これで私たちは間違いなく家族になった。
このまま実家で里帰りをさせてもらい、そのあとは一緒に住んだベリヶ丘にあるマンションに引っ越す予定だ。
あの広いリビングはきっと悠真が走り回るようになるだろう。
実家にいる間、毎日のように彼はきてくれた。おかげで私の両親との距離感が縮まった。彼の誠実な態度が複雑に絡まってしまった関係を解きほぐしてくれたのだと思う。
父は妊娠した娘を放り出したと怒り浸透だったが、彼が謝罪を繰り返し、なんとか怒りを収めてくれた。
母は私たちのやりとりを病室の外で聞いていたのだろう。彼になにも言わなかったが、必ずふたりを幸せにしてくださいと約束をさせていた。
赤ちゃんが病室に来るとみんなの表情が和らいだ。
産着を着せられ、タオルに包まれた赤ちゃんは私の元に連れてこられる。私が抱いた後、蒼生さんに渡そうとするが、首を横に振った。
「俺よりも今までお世話になったお父さんやお母さんに抱いてもらうべきだ。俺は最後でいい。抱けるだけでも幸せだから」
「君は父親なんだから先に抱くべきだろう。今までのことは水に流して、きちんと父親として責任を果たすべく、この重みを知るべきだ」
私の父に言われると、自分が先に抱いていいのかと驚いていたが、私の手から赤ちゃんを抱き上げた。
「なんて小さいんだ。かわいいなぁ。よく産まれてきてくれたな。ありがとな」
彼の目からまた涙がこぼれ落ちた。それを彼はこっそりぬぐっていたのを見逃さなかった。
彼の優しさ溢れていると思った。
私の両親も変わるがわる抱きしめると家族が一つになった。
彼は突然産まれたこの子の名前を一生懸命に考えてくれた。
そして名付けてくれた。
この子の名前は悠真。のびのびと、そしてまっすぐな子に育ってほしいと願いをこめてくれた。
蒼生さんは私が入院中にお父さんと話をつけてたと言っていた。
私から強引に引き離そうとしたことは許せないといい、三橋製薬を継ぐことだけが自分の価値ではないと話してきた。箔がつくといつも言っていたが、そんなものはお飾りにしかならない、実力で上がっていくと伝えるとお父さんは項垂れていたそうだ。
彼の両親が離婚したのもお父さんがワンマンだったせいもあるらしい。
ただ、三橋の家に生まれたからって後継者指名を受けるのは間違っている。実力で上がっていくから結婚相手にそんなものは求めないし、自分で選ぶと伝えたらしい。
なにもかも父親のいう通りにならず不服そうであるが、彼はお父さんの操り人形ではない。きちんと感情を持った人間だ。
時間がきっと解決してくれることだろう。
私は入院中に入籍を済ませた。両親が保証人になってくれた。
そして、退院すると悠真の出生届を提出した。
これで私たちは間違いなく家族になった。
このまま実家で里帰りをさせてもらい、そのあとは一緒に住んだベリヶ丘にあるマンションに引っ越す予定だ。
あの広いリビングはきっと悠真が走り回るようになるだろう。
実家にいる間、毎日のように彼はきてくれた。おかげで私の両親との距離感が縮まった。彼の誠実な態度が複雑に絡まってしまった関係を解きほぐしてくれたのだと思う。