御曹司は初心な彼女を腕の中に抱きとめたい
一ヶ月後、私は悠真を連れて彼のマンションへ戻った。

「おかえり」

「ただいま」

彼は悠真を抱いたまま私のことも抱きしめてくれた。私も彼の腰に手を回し、抱きついた。
やっと彼の腕の中に戻ってこれたのだと実感した。

「みちる」

頭上から聞こえる声に顔をあげると、キスが落とされた。久しぶりのキスに胸の奥が熱くなる。
寝ている悠真をベビーベッドにそっと下ろすと、彼は私をソファに座らせた。
チェストから小箱を取り出すと私の元に持ってきた。そして隣に座らず、正面に跪いて私の左手を取った。

「結婚してくれてありがとう。これから絶対に幸せにすると誓うよ」

そう言うと薬指に指輪をはめてくれた。そしてその指にもキスを落とした。私の顔を見上げてくるような体勢に思わず首にしがみつき、私から彼にキスをした。

「私こそ、蒼生さんと結婚できて嬉しいの。こんな幸せが待っているなんて思ってもみなかった。これから一緒に生きていけるなんて信じられない。絶対に離さないでね」

「もちろんだ。もう絶対に離さない」

重なりあった唇はお互いの形を懐かしむように角度を変え、どんどんと深いものになっていった。

未来は何が起こるかなんて分からない。でもずっと隣にいたい気持ちは変わらない。離れるなんて考えられない。

あなたを信じる
あなたに付いていきたい
人生なんて思っているよりも短い。後悔しない人生を送りたい。

END
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