御曹司は初心な彼女を腕の中に抱きとめたい
「そういえばどうして私が実家に帰っているとわかったの?」

あの日からしばらく経ってふと思い出した。

「みちるがいなくなってすぐに弓川に相談して、みちるを調べてもらったら仕事を辞めていて驚いたよ。実家の住所を聞こうにも個人情報だと弓川は教えてくれず、妥協案として俺の代わりに電話をかけてもらった」

そういえば母も弓川社長から電話があったと話していたことを思い出した。

「その時にお母さんが何かを隠しているのはわかったが、みちるは一緒に住んでいないと思ったそうだ。それで俺も色々と調べていたらうちのお手伝いさんがみちるらしき女性に別れを強要していたと教えてくれたんだ。彼女は俺の味方だから。そこから芋づる式に調べまくってマンションを借りたことなんかがわかってきた」

「でもそれじゃああの日あそこにきたのはなぜ?」

「それは偶然みちるを見かけたって一緒に合コンに行っていたやつに言われたんだ。三橋製薬の営業だから歩き回っていたんだろう。それに営業だからこそ人の顔をよく覚えていたんだな。そいつにみちるの話をされ、いても経ってもいられなくなり、また弓川に直談判した。どうしても連絡が取りたいから実家の住所を教えてくれ、と」

あの時の合コンの人が私を覚えていてくれたの? まさかそんな偶然があったんだ。

「そこで弓川が俺の熱意に押され渋々住所を教え、あの時に至ったんだ」

「まさかそんなことがあったんですね。色々な偶然が重なりあって今の私たちがいるんですね」

「あぁ、俺たちはいろんな人に恵まれているな」

彼は私の手を取ると笑っていた。
こうやって人と人は繋がりあっているのだろう。
不思議な縁を大切にしていかなければいけないと感じる話だった。
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