半径3cm未満に(2)
「…うん。大丈夫」
そっと先生の手がおでこから離れた。
「…ケホッ」
「袋、これ使って」
先生は気づいて袋を広げて口の少し下に用意してくれる。
「…うぅ…」
どうしよう、このままじゃ吐いちゃう。
でも先生には、見られたくない。
嘔吐物は、絶対に見せたくない。
「…ごめ…せんせ…」
「だから俺は大丈夫だって。」
そう言って私を抱えている手で優しくさすってくれる。
「うっ…!」
…堪えられなかった。
吐いてしまった。
先生の、前で。
「ケホッ、ケホッ、」
涙目になりながら力が入らない手で先生の服を掴む。