半径3cm未満に(2)
「ごめ…なさ…こんな…汚いの…見せちゃ…」

先生は私の嘔吐物が入った袋を縛って床に置く。

「きちーなあ…。」

「え…?」

思っていた反応と違って顔を上げると、優しい瞳に私が映っていた。

「日向さんのしんどいの、俺に全部飛んでくればいいのに。…何で日向さんばっかりこんなきつい思いして…。」






私ばっかり。








それはずっと思っていた事だった。




周りの家族は、幸せそうで。




周りの人は、みんな元気で。




周りの友達は、ちゃんと学校に行っていて。



なのに、私は…。



みんなに迷惑かけることしかできない。




謝ることしかできない。




私がこんな身体で、こんな弱い心で生きているせいで。





ーーポツッ




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