半径3cm未満に(2)
by,秋空

「ん…」

キスの状態から寝るとか、こいつ絶対天然だ。

すやすやと寝た日向にふとんをかけ、俺も同じところに入った。

無防備にもほどがある。

頼ってた時にしなかったキスを今、“元彼”となってしてしまった。

あの時、日向が泣いているのを見て、俺は2人きりで話せるチャンスと思い、空き教室で日向の話を聞いた。

『恒成には、俺から話聞くから、また日向よぶね』

『お願いします。 』

あの時、日向は教室から早足で出て行った。

ーー下唇を、小さくかんで。

何かかくしてることがある。

そう思った俺は、日向の心を無理やりでも開けたくなった。

日向はとことん笑わない奴だって知ってたから、彼女の笑った顔が見たくてたまらなかった。

『あ、恒成。昼休み、ちょっといいか?』

1限目の4組の授業後、俺は恒成にそう言った。

『はい、大丈夫ですよ? 3組に行きますね、昼休み。』

『ありがと。待ってる。』
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