半径3cm未満に(2)
俺はそのまま視線を日向に向けた。

『せ、先生。明日の国語っていつも通りですか?』

『ん。いつも通りでいいよ。』

その時、国語係だったのは日向で、毎回授業が終わるたびにそういう会話をするのが日課だった。

『あ、日向。放課後、空いてるか?』

『え、あ、は、はい』

『じゃあ、隣の空き教室に来てもらってもいい?』

こくんっ、と首を縦にふった日向。

それからすぐに友達に呼ばれて向こうに行ってしまう。

俺は自分のものにしたいという欲をおさえて授業の片づけをはじめた。
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