半径3cm未満に(2)

by. 秋空

何なんだよ、日向。

急に裾つまんで、急に俺に微笑んで。

大学のとき、よくここに遊びに来てたから造りは知ってた。

でも。

日向のことは、何にも聞いてなかった。

昨日、日向とここで会って、今日、学校で穂貴先生に聞いた。

『あの日向のことなんですけど、』

『日向さんのこと、言わないでもらえる?
今日は風邪ひいて寝てるんだけど、色々あって一緒に住んでるから。』

俺は2人の関係が気になってたまらなかったのと、風邪をひいたのが心配だったため、ここに来た。

日向の寝顔も、キスしたときに漏れ出た声も、あの時に知りたかったな。

おそるおそる日向の柔かい前髪を右に流してみた。

ーー「は…?
…何言ってんの…私そんなこと言ってない!
適当な嘘つかないで!!」
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