半径3cm未満に(2)
「みつりは、母親についてって…俺は…父親についてったんだけどさあ…。
急に父親が厳しくなっていすごい物にあたるようになって…今までさんざん傷しててさ…」

だからあの時、私の消毒ができたんだ。

だからみつりさんの名字が「今藤」なんだ。

「でも、… みつりも、母親に色々されてて…。
俺らがお互いの状況を知ってから…俺たちは1人じゃないって思ったんだよねえっ…不思議なことに…。」

何となく、わかった。

何で先生が、そんなことを言っているのか。

何で今、カミングアウトしたのか。

「俺思うんだよ…」

先生は目に涙をためたまま、私の目を見た。

「「人って、簡単に壊れるんだって」」

私と魚島先生は、まったく同じことを言っていた。

正確には、私がかぶらせたんだけど。
< 58 / 165 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop