半径3cm未満に(2)
「そう言えば、来週ってみつりの誕生日じゃなかったですか?」

星川くんがふいにそう言った。

「…ああ…しかも命日…」

「…命日…?」

「…まつりの…。みつりの双子の姉ちゃんの命日。
俺のもう1人の妹。
中学の時、学校からとびおりて…タヒんだ。」

星川くんは気まずそうに視線を左にそらした。

本当は、言うつもりなかったんだけど、日向さんがあんなこと言うから…。

ーー「先生は、1人で頑張りすぎだよ…。」

俺は、日向さんみたいに強くない。

だから、ずっと過去の出来事に蓋をしめて必死に忘れようとしていた。
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