半径3cm未満に(2)
「いや…不満とかじゃなくて…。
ただ…その…ほんと迷惑かけてばっかだなって…。」

ゼリーのふたをあけて、日向さんに紙スプーンと一緒に渡す。

「何言ってんの。さっきも言ったでしょ。違うって。
俺はしたくてやってるんだから、日向さんが気にすることないからねー。」

「でも…。」

日向さんはゼリーを受けとると、おとなしく食べはじめた。

「おいしい?」

「…うん。おいしい…。」

俺は気づけば日向さんの頭をそっとなでていた。

「…ん?…どしたの…?」

「…まつりに似てるなって思って」

「…まつり…?」
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