半径3cm未満に(2)
日向さん、今の話聞いてたよね?

次は守るって決めたんだし、俺。

「良くないよ。…日向さん、言ってくれたじゃん、『頼りにして』って。
俺、日向さんのこと頼りにしてるからさ、一緒に暮らさないと何も言えないでしょ?」

これ以上、日向さんに傷ついてほしくない。

とにかく、苦しむ人を救いたい。

まつりみたいに1人で抱えこんでしまう人を助けたい。

だから…。

「…お願い。もう『帰る』とか言わないで…。」

俺はそう言って、手を離して日向さんの顔をのぞきこんだ。

「…なんで…?なんでそんなに.せんせえ優しいの…?」

「俺は全然優しくなんてないけど…?」

「無自覚なんだ…」

日向さんは小さくつぶやくと、残ったゼリーをまくらもとに戻した。

「食べないの?」
< 74 / 165 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop