半径3cm未満に(2)
爪がくいこみそうなほど、つよく…。

「私…家にいる…。」

『でもいないよ?
歌衣くんと2人で探してもいないの。
どこにいるの?嘘つかないで本当のこと言って』

ーーす。

私の右手を、先生の左手が包んだ。

もう片方の手は、私の頭の上にあった。

「大丈夫」

星川先生はそう言って私の緊張をやわらいだ。

「私は…もう…あの家を出て、新しい家にいるの…。」

だんだんと右手の力が抜け、かわりに声と手が震えはじめた。

『1人なの?』
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