半径3cm未満に(2)
魚島先生も、星川先生と同じこと言ってたな…。

そんなに私…1人で抱えこんでたのかな。

「せんせ…私…お母さんが、すごい怖くて…。
学校で先生と会ったとき…。
私が倒れて、魚島先生がここまでつれてきてくれた日の前の日に、ガラスのコップ投げられて、耳にあたっちゃったの…。
ほら」

先生に傷をした右耳を見せようと、髪を耳にかけた。

「な…」

先生の手が離れ、瞳が揺れ動く。

「…こ…こ、れ…」

「…ごめん…なさ…。ずっと…言ってなくて…」

「…何で…何で日向が謝るの…」

「え…」

予想外の返事に困惑してしまう。

「しんどかったのに気づけなかった俺が悪いじゃん、
どう考えても…。」

そっと先生の手は私の耳にあたる。

「…あぁ…あぁぁ…ごめんな…日向…。
彼氏の時に…俺が守れなくて…。
そりゃ日向も別れたくなるわなあ…。」
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