半径3cm未満に(2)
「日向が俺のこともう1回好きになるようにしてる。」

「だから私たち…もう別れて…んっ…!」

唇に、何か柔かいものがあたった。

「んっ…んんん…!」

まともに呼吸ができなくて、必死に声を出そうとして、ようやく唇がはなれた。

「かわい…そんな声だすからだめなんだよ、 日向。」

今、私は真っ赤になっているに違いない。

「…何をしても、私がもう1回、先生とつきあいたい、とは思わないと…思います。」

「でも俺はつきあいたいんだよ。…お前のことが好きなんだよ…。」

私の元彼はそう言うともう1度唇を重ねてきて、身体を密着させた。

「んっ…せんせ…やあ、だめ…。」

思わず涙目になってしまって、頑張って先生から離れようとする。

でも…。

「日向、大きくなったな。」

先生の唇が離れても、あたたかい吐息が私の鼻にあたっていた。

私…もう星川先生のこと好きじゃないのに。

私は魚島先生のことが好きなのに。

こんなつもりはなかったのに。

あの時、魚先生の言葉を聞いておけば良かったのに…。

ーー「ちょっーー日向さーーっ!?」
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