邪魔したくないから



なんだか悲しくなって、目に涙がたまってきた。


やばいこのままじゃ、泣いちゃう……蓮もまだ近くにいるのにっ


すると、上兼くんが私の腕を掴んで、どこかへ連れて行く。


人気のない学校の裏庭。


上兼くんの優しさに、また涙腺が緩む。


「泣いていいよ」


「ゔぅ……」


優しく抱きしめてくれた。なんて、温かいんだろう。



なんで、私に優しくしてくれるんだろう。



どうして、蓮じゃないんだろう。


なんで、蓮は私を選んでくれなかったんだろう。



色んなことが頭の中を駆け巡る。



「紗良っ!」
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