元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される

■■■

 翌日の学園は、レインが休んだ事実などなかったくらいにいつも通りだった。
 もともと、もうすぐ卒業で、進路も王子妃と決まっているレインは学園に来る必要もなく、したがって、休んだ穴埋めのために課題を追加される、なんてこともなかった。

 ただ学園の教師陣が「アンダーサン公爵閣下から聞きましたが……」とレインを心配してくれるようになっていたことだけが違いだった。

 おそらく、ユリウスがレインを案じて先に根回しをしていてくれたのだろう。
 ユリウスのおかげで、せめて教師陣には、レインがヘンリエッタをいじめてなどいないということが理解されて、周知されている。ユリウスは、レインを、たとえそばにいられないときでも守ってくれている。それが嬉しかった。

 相変わらずオリバー王子たちには遠巻きにされ、敵視されてもいるけれど、レインは平気だった。
 状況が変わったのは、昼食を食べようとカフェテリアに向かったときだ。
 カフェテリアに向かう途中の廊下で、ヘンリエッタが話しかけてきたのである。

< 104 / 243 >

この作品をシェア

pagetop