元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される
オリバーが吼える。ユリウスは氷のようなまなざしでオリバーを見やる。それにオリバーが委縮すると、ユリウスは静かに返した。
「証拠はここに。レイン。皆に、その顔を見せてやってはくれないか」
顔を見せる。それがどういう意味を持つのかわからない。
けれど、ここまでのユリウスの言葉に、レインはユリウスが自分に何をさせたいのかを理解していた。顔を曝すことは恐ろしいことだ。昔からそう、赤い、不吉な不気味な目。そう言い聞かされて育ってきた。
でも、レインはもう、あの頃のレインではない。兄が――ユリウスが顔を見せなさい、というなら、この顔を皆に見せることに恐怖などありはしなかった。
レインは頷く。
「はい、お兄様」