元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される
その言葉の、意味、が。いいや、意味を、理解してしまったのだろう。理解しないようにと思っていたのかもしれない。悲しい、いう国王の言葉に、オリバーは今度こそ目を見開き、頭を抱えて座り込んだ。
「う、うわああああ……!」
目から涙を流して、口からは悲鳴のような泣き声をあげながら、オリバーはその場で啼き伏せる。国王はそれを痛々しく見やり、小さく、こぼすようにユリウスに言った。
「あとのことは頼む。……ユリウス」
「は」
ユリウスは会場を振り返って、朗々とした声で、安心してほしい、と告げた。
「皆、騒がせてしまってすまない。パーティーは後日また行うから、今日は解散とする。何かあればアンダーサン公爵家が用立てるから、相談してほしい。パーティーの費用もアンダーサン公爵家が受け持つ」
ほっとしたような声が広がる。レインも胸に手を添えて息をついた。
パーティーにはお金がかかるものだ。それが、オリバーたちが元凶とはいえ、だめになれば学生たちの家にはどれほど負担がかかるかわからない。それを、簡単に解決してしまったユリウスに、レインは尊敬のまなざしを向けた。
ユリウスが、今度はベンジャミンを振り返って言う。