元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される

 目が覚めると、干し草小屋に寝かされていた。
 レインは小さく息をつき、まだ熱っぽい体をゆっくりと起こした。

(……また、死ねなかった)

 レインは自分がまた生きながらえていることに気付いて、うなだれるようにうつむいた。
 死んでしまったほうが楽なんじゃないか、そう思い続けて今日も生きている。

 それなのにレインのこの体はやたらと丈夫で、レインに安息を許してくれはしなかった。
 レインが何事もあきらめるように受け入れてしまうのは、このずっとレインに付きまとう希死観念のせいなのかもしれない。

 足を引き寄せて、小さくうずくまる。
 と、同時に、誰かが干し草小屋の入り口からぬうと顔を出した。

「ご主人様……?」

< 14 / 243 >

この作品をシェア

pagetop