元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される
目が覚めると、干し草小屋に寝かされていた。
レインは小さく息をつき、まだ熱っぽい体をゆっくりと起こした。
(……また、死ねなかった)
レインは自分がまた生きながらえていることに気付いて、うなだれるようにうつむいた。
死んでしまったほうが楽なんじゃないか、そう思い続けて今日も生きている。
それなのにレインのこの体はやたらと丈夫で、レインに安息を許してくれはしなかった。
レインが何事もあきらめるように受け入れてしまうのは、このずっとレインに付きまとう希死観念のせいなのかもしれない。
足を引き寄せて、小さくうずくまる。
と、同時に、誰かが干し草小屋の入り口からぬうと顔を出した。
「ご主人様……?」