元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される
ユリウスは何かもごもごと考え込んでいるようだった。
本当に、この人はレインのことになると物事を考えすぎるんだわ、と思って、レインはますますユリウスのことが愛しくなった。
「添い遂げるなら、お兄様……ユリウス様がいいです。そういう意味で、愛している、と申しました」
レインが顔をあげて、捧げるように言うと、ユリウスは琥珀色の目を見開いた。
「それとも、お兄様は私を愛してはいないのですか?」
「それは違う。私はレインを誰よりも愛している」
そこだけは譲れない、と言いたげに、ユリウスははっきりと言い切った。それにレインは笑ってしまう。
「私は、てっきり……」
「てっきり?」
「レインは、オリバーを好いているものだと」
「オリバー様を?」