元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される
「ユリウスが、君とオリバーとの婚約を解消したのは知っているね? 解消するとき……と言っても、あの勢いは婚約破棄に近いものがあったが……、ユリウスに、私はならば君と婚約をする代わりの人間を見つけてこい、と言ったんだ。そうすれば解消されることもないだろうと……」
本当に、申し訳ないことだったと思うよ。そう言って、国王はアレンを降ろし、頭を下げた。
アレンは不思議そうに父王を見上げている。
「けれど、ユリウスは私がそう言うと、代わりの婚約者には自分がなる、言ってね。驚いたよ。ユリウスの目は本気だったから。本気で、君を傷つける人間には容赦しない、という目だった。だから私も、血がつながらないとはいえ兄妹だろう、という言葉が出なくなってしまってね」
国王はレインを見つめた。まっすぐなまなざしは、国王としてではなく――きっと、レインの身内としてのものだった。