元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される
第十四話 サファイアの導き(ユリウス視点)
「レインがいない……!?」
「はい、もうお休みになっていると思って確認しに行きましたところ、どこにもいらっしゃらなくて……」
深夜に、慌てたようにユリウスの泊まる客室に転がり込んできた女官長ベルにより、婚約者であるレインの不在を伝えられたユリウスは、目を見開いて呆然と口を開いた。
急いで駆け付けたレインの部屋はもぬけの殻で、しかし、レインが勝手に城の外に出たうえ、戻らないこともありえない。レインの好きな中庭にもレインの姿はなく、ユリウスは眉根を寄せた。
「まさか、さらわれた……?」
最悪の想像が脳裏をよぎる。だが、この警備の厳しい王城でどうやって王女を攫うというのだろう。
ユリウスの言葉に、その場に沈黙が降りる。
レインの居住区一帯の護衛を任されていたダンゼント騎士団長が、青い顔をして絞り出すように言った。
「はい、もうお休みになっていると思って確認しに行きましたところ、どこにもいらっしゃらなくて……」
深夜に、慌てたようにユリウスの泊まる客室に転がり込んできた女官長ベルにより、婚約者であるレインの不在を伝えられたユリウスは、目を見開いて呆然と口を開いた。
急いで駆け付けたレインの部屋はもぬけの殻で、しかし、レインが勝手に城の外に出たうえ、戻らないこともありえない。レインの好きな中庭にもレインの姿はなく、ユリウスは眉根を寄せた。
「まさか、さらわれた……?」
最悪の想像が脳裏をよぎる。だが、この警備の厳しい王城でどうやって王女を攫うというのだろう。
ユリウスの言葉に、その場に沈黙が降りる。
レインの居住区一帯の護衛を任されていたダンゼント騎士団長が、青い顔をして絞り出すように言った。