元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される
 その馬車道へ出ると、数人の子供たちがこぞって何かを集めている。

「君たち、拾っているものを見せてくれるかい」
「わ! びっくりした! うん、いいよ」

 ユリウスが声をかけると、子供たちは一瞬不思議そうな顔をしたが、素直に見せてくれた。

「これは――」

 子供の手のひらにきらきらと輝くそれは、小さくともひとつひとつが繊細な雫の形をしている青い宝石で、少なくとも、王城の付近に小石のように落ちているものではない。

 それに、ユリウスはこの石に見覚えがあった。よくよく見れば見るほど、間違いはない。
 これは、ユリウスがレインに贈ったネックレスのサファイアだ。

「……ベン、ダンゼントを呼べ。騎士団を動かす。イリスレインの捜索だと言えば反対はされないだろう。公爵家の私兵も呼び出せ。このサファイアの続いている方向へ向かう」

 ユリウスは目線を下げて子供たちに尋ねた。
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