元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される
「この青い石はどこへ続いていた?」
「あっち。貴族の屋敷がある一等地のほう。こういうきらきらしたのが馬車道に落ちててさ、貴族の落とし物拾ったらお礼がもらえるかなって、みんなで集めてたんだ」
ユリウスはサファイアを差し出してくれた少年の頭を撫でて微笑んだ。
「そうか、それは私の婚約者のものなんだ。それを集めておいてくれないか? 必ずお礼をする。アンダーサン公爵と言えば使用人が私のもとへ連れてきてくれるはずだ」
「わかった!」
嬉しそうに頷く少年の頭をもう一度撫でて、ユリウスは立ち上がる。
駆けながらやってきたダンゼントと、馬を連れてきたベンジャミンに向かって声を張り上げる。
「こっちだ!」
「ユリウス様!」