元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される
 ダンゼントが馬から降りてユリウスに並ぶ。ユリウスはダンゼントの背後の騎士団員たちを見やり、ダンゼントに静かに尋ねた。

「ダンゼント騎士団長、エウルア副団長はいるか?」
「それが、昨日のパーティーから姿が見えず……」

「そうか、彼はオリバーに手を貸している可能性がある」
 思い出すのは、昨日レインをあざけるように見ていたエウルア副団長の姿。
 もっと警戒しておく必要があったのに、それを怠った自分に心底失望する。

 ユリウスの言葉に、ダンゼントがギッと顔を引き締める。

「――承知しました」

< 209 / 243 >

この作品をシェア

pagetop