元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される
第十五話 ヒロインのヘンリエッタ
レインたちが連れてこられたのは、どうやらどこかの貴族の屋敷のようだった。
眠ってしまったアレンを抱いたまま、屋敷の使用人に、先ほどとまでとは打って変わって丁寧に案内される。それが不気味だ。仮面のような顔をした使用人に話しかけても返事は返ってこない。
そうして客間のような場所にたどり着いたレインたちを待っていたのは、髪と同じ、薄桃色のドレスで、まるで姫君のように着飾ったヘンリエッタだった。
「コックスさん……」
「あんた、また私のことをそう呼ぶの? コックス様、もしくはヘンリエッタ様、でしょう? 私は王太子妃になるんだから」
レインの後ろに使用人二人が張り付く。逃げられない。
ヘンリエッタを刺激するのはよくない、と考えて、レインは口をつぐんだ。
そうやって、しばしの沈黙の中、ヘンリエッタの様子を観察する。
少し痩せただろうか。
大きかった目が今はさらに大きく見え、ぎょろりとしてこちらを向いている。
肌は青白く、髪はよく見ればぱさついていた。
「どうして……」
眠ってしまったアレンを抱いたまま、屋敷の使用人に、先ほどとまでとは打って変わって丁寧に案内される。それが不気味だ。仮面のような顔をした使用人に話しかけても返事は返ってこない。
そうして客間のような場所にたどり着いたレインたちを待っていたのは、髪と同じ、薄桃色のドレスで、まるで姫君のように着飾ったヘンリエッタだった。
「コックスさん……」
「あんた、また私のことをそう呼ぶの? コックス様、もしくはヘンリエッタ様、でしょう? 私は王太子妃になるんだから」
レインの後ろに使用人二人が張り付く。逃げられない。
ヘンリエッタを刺激するのはよくない、と考えて、レインは口をつぐんだ。
そうやって、しばしの沈黙の中、ヘンリエッタの様子を観察する。
少し痩せただろうか。
大きかった目が今はさらに大きく見え、ぎょろりとしてこちらを向いている。
肌は青白く、髪はよく見ればぱさついていた。
「どうして……」