元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される
レインは小さく息をして、なるべく落ち着いて見えるように口を開いた。
「……どうして私をここに連れて来たんですか」
レインが丁寧な言葉を使ったからだろうか。ヘンリエッタが満足そうに唇を歪める。
「そんなの決まってるじゃない。あんたに正式な書面で王位継承権を放棄しました、私はただの奴隷ですって書かせて、最後にあんたを殺すためよ」
ぞっとするようなことを歌うように言うヘンリエッタに心臓がどくどくと拍動する。それを無理矢理抑え込んで、レインは静かに尋ねた。
「王位継承権……?」
そう言えば、先ほどヘンリエッタは「王太子妃」と口にしていた。
まさか、この一連の出来事には、オリバーがかかわっているのだろうか。
黙ったレインが気おされたと思ったのか、ヘンリエッタは嬉し気に続ける。