元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される

 ヘンリエッタの母は、ヘンリエッタを抱きしめたまま、何度もレインに頭を下げた。
 ヘンリエッタも、しゃくりあげた声で「レイン様、ありがとうございます」と続ける。

 ユリウスの隣でそれを聞きながら、レインは初めて誰かを救えたことに、不思議な気持ちになった。
 ユリウスに救われて生きて来た自分が、誰かを救う。

 ああ、と思った。そうして繋がっていくんだわ、と。

 今日は青い空が広がっている。雲一つない晴天だった。
 レインはユリウスを見上げて微笑んだ。ユリウスが目を細め、レインを見つめ返す。

 今日はレインとユリウスの結婚式だった。

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