元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される
「ユリウス様」
「おや、呼び方が戻ってしまったね」
「だってやっぱり違和感があったんです。なぜだろうと思ったら、私、ずっとユリウス様を好きだったから――私のおひさまだと思っていたから、尊敬していて、そしてそれは今でも同じで、だから、その……もうしばらくは、こう呼んでいたいなって」
「……いいよ。レインらしい理由だね」
ユリウスは微笑んで、レインとともに一歩踏み出した。
司祭のところにたどり着く。結婚証明書にサインを書くとき、喜びで手が震えそうになってしまった。
司祭が告げる。
「新郎、ユリウス・アンダーサン。あなたはここにいるイリスレイン・アンダーサンを、病めるときも、健やかなるときも、富めるときも、貧しきときも、これを愛し、敬い、いつくしむことを誓いますか?」
「はい、誓います」