元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される

「新婦、イリスレイン、アンダーサン。あなたはここにいるユリウス・アンダーサンを、病めるときも、健やかなるときも、富めるときも、貧しきときも、これを愛し、敬い、いつくしむことを誓いますか?」
「はい、誓います」

 司祭が微笑む。

「では、誓いのキスを」

 透けたヴェールがユリウスの手によって持ち上げられる。
 ユリウスの琥珀色の目と、レインの暁の虹が交わって、互いの瞳に映った。

 ――ここまで、たくさんのことがあった。

 奴隷になって、救われて、愛されて、オリバーと婚約して、破棄があって、と思えばユリウスと婚約していて。
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