元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される

 女王イリスレインは民を愛し、民に愛された君主だった。

 彼女の治世は穏やかで、戦争もなく、けれど王配とともに打ち出した政策で国を富ませていった。
 また、イリスレイン女王が、王配であるアンダーサン公爵に溺愛されていたという文言は、どの歴史書にも残っているほどで、それほど夫婦仲がよかったという。

 夫との間に三男三女をもうけ、子供たち全員の成人を待って、第一子に王位を譲ったイリスレイン女王は、その後は自らが育った、王配の実家でもあるアンダーサン公爵家でおだやかな余生を送ったという。

 ――私の陽光。

 現代において愛する人をそう称するが、これを最初に言いだしたのは、まさにこのイリスレイン女王である。
 その相手であるアンダーサン公爵が、彼女の妻のことを「私の慈雨」と呼んでいたことから、夫婦で互いを「雨と陽光」と呼びあうことが定着したのだろう。

 なぜなら、雨のあとには、必ず陽光がやさしくあたりを照らす。そうして生まれる虹こそ、幸せの象徴だからだ。





< 243 / 243 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:110

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

ヒュントヘン家の子犬姫~前世殿下の愛犬だった私ですが、なぜか今世で求愛されています~

総文字数/107,062

ファンタジー226ページ

第5回ベリーズカフェファンタジー小説大賞エントリー中
表紙を見る
猛禽令嬢は王太子の溺愛を知らない

総文字数/9,558

ファンタジー27ページ

表紙を見る
邪竜の鍾愛~聖女の悪姉は竜の騎士に娶られる~

総文字数/24,575

ファンタジー50ページ

第5回ベリーズカフェファンタジー小説大賞エントリー中
表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop