元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される
そうやって案内された部屋はこれもまた広く、レインの住処だった厩なんて両手の指以上に入ってしまうような豪奢なものだった。趣味のいい、素人目にもわかる高価な調度が当然のように配置され、床にはふかふかの絨毯が敷かれている。
レインはユリウスの手からメイドの手に移動させられ、人生で入ったこともないあたたかな湯につけられた。猫足の白いバスタブは、レインが湯に入るとあっという間に濁ってしまう。何度も何度も湯を変えて、信じられないようないい匂いのする石鹸をこれでもかと使って洗われ、それだけで一生分の湯を使ったと思うくらいだったのに、仕上げに薔薇の香油を塗り込められた。
レインは爪の間まで洗い上げられ、仕上げにふかふかの白いタオルで拭われて、そしてこれまたはっとするような手触りのワンピースを着せられて、レインはユリウスとアンダーサン公爵の待つリビングに通された。
どうやって絨毯を踏めばいいのだろう、なんてことを思っていると、メイドは直接ユリウスの腕の中にレインを戻すから、レインはまた目をぱちぱちと瞬いた。